
はじめに
筆者は2004年から2005年にかけて某プロ野球チームの設立を行ったスタッフの一人です。当時の記憶を整理しながら、「プロ野球チームの作り方」が7分以内で理解できるよう、ざざっと書いてみました。
これさえ読んでおけば、いつプロ野球チームを作ることになっても安心ですね!
プロ野球チーム設立のための2つの作業
NPB(日本野球機構)に加盟するプロ野球チームを作るためには、大きく分けて2つの作業が発生します。
- 1 : NPBへの参入作業
- 2 : プロ野球球団を作る作業
これらを詳しく見ていきましょう
1 : NPBへの参入作業
- 2004年のように2つの球団が合併し球団数が減る
- 12球団以上に球団数を増やす
といった際には、新規参入球団を募集することとなります。
こういったタイミングであなたがプロ野球に参入しようとするならば、以下の作業が必要となります。
作業
- プロ野球への参入をメディアに発表
- 本拠地を選ぶ
- 申請書を作成
- 審査委員会等でのヒアリング対応
ちなみに審査委員会での審査項目は以下の6つになります。
1 : 参加申請の妥当性や球団経営の継続性、安定性、発展性
2 : 野球協約との整合性
3 : 専用球場の施設能力、野球観客の需要
4 : 選手、監督の確保見通し
5 : 親会社と球団の経営状況の分析
6 : 公共財としてふさわしい企業・球団であるか
これらの内容を受け、NPBが審査を行い、最終的には既存球団のオーナーが出席するオーナー会議にて決定されます。
2 : プロ野球球団を作る作業
NPBに加盟できたら、いよいよ球団作りです。
膨大な内容なので、ここでは大きくざっくりと書いていきます。
チーム作り
監督、コーチ、選手、裏方を選びます。
監督は作成したリストから一人一人交渉していきます。コーチは基本的に監督が決まった後に推薦を受けながら決定します。
選手は新規参入の場合は、原則的に既存球団からの分配ドラフトで分けてもらうことになります。また、通常のドラフトやFA、外人の採用、トライアウト、トレード等も活用しできるかぎり補強する努力をしますが、ノウハウと既存パイプが圧倒的に欠けるため非常に困難な作業になります。
また、チーム名、ロゴ、ユニフォームも作ります。
チームとしての顔づくりなので一生懸命がんばりましょう。
球団組織作り
野球チームを運営する部隊、スタジアムを運営する部隊、ビジネスを運営する部隊、行政・地元対応する部隊といった球団を運営するのに必要な組織を作り、人を募集します。
野球チームを運営するスタッフは、絶対に経験者が必要です。
いずれにしても、50人~100人程度のスタッフを参入決定後1カ月で採用していくため、非常に困難な作業です。
ビジネス作り
プロ野球チームのビジネスは球団によって分かれますが大きく以下の通りです。
チケット
- 年間シートの販売
- 通常チケットの販売
スポンサー(広告)
- スタジアム広告
- ユニフォーム広告の販売
放映権
地上波テレビ局、CSテレビ局に対して試合の放送権の販売
マーチャンダイジング
- 野球関連商品(キャップ、メガホン等)の製作・販売・ライセンシング
- 食品等の製作・販売・ライセンシング
ファンクラブ
- ファンクラブの会費収入
スタジアム
- スタジアム内での飲食の販売
- 物品・グッズの販売
その他
- ケータイの有料サイトでの課金
- 選手を使ったCMの出演料
それぞれに膨大な作業が発生しますが、ここは作業をアウトソースするか自前でやるかで大いに作業量が変わってきます。我々はほとんどを自前で行ったため作業は大変でしたが、その結果利益率が高くなりました。
近年では自前で行う球団が増加してきています。
スタジアム作り
既存のスタジアムをそのまま使うといったことをしない場合、スタジアム作りの作業が発生します。
スタジアムは甲子園の例をあげるまでもなく、うまくいけばプロ野球球団としての大きな価値になりますので、非常に重要です。できれば新規でつくるか、大規模なリノベーションを行い、ファンがワクワクするようなスタジアムを作ることが望ましいです。
他球団との交渉
オープン戦、通常シーズンのスケジュール決めを早急に行う必要があります。
これは新参者の場合、非常に厳しい交渉になる可能性があります。
GW中の試合をどこでやるか、スタジアムが出来上がっていない時期のオープン戦をどこでやるか等ハードな交渉が必要となります。
ファン作り
球団主導でファンを作ることはできませんが、できるだけ多くの方にファンになっていただき、またその方々に楽しんでいただけるように
- 地元の企業や学校への訪問、パレード等の実施
- 球団歌、スタジアム内演出、チアリーダー、マスコット等の作成
を行います。
プロ野球チームを作るポイント
プロ野球チームを作るにあたり、私なりに考えたポイントを挙げておきます。
地元の協力
行政、経済界での地元の協力は不可欠です。地元対応の部署にはエース級スタッフを配置しましょう。
パートーナー企業の協力
新規参入が決定すると有象無象の企業が売り込みに来ます。しっかりとした選球眼で選んでいくことが必要です。
また、自分たちでできる作業は自分たちで行い、安易に外注しないことも大切です。
ファンの目線
常にファンの目線を忘れずに考えてください。
プロ野球の論理、親会社の論理とのバランスをうまくコントロールすることが重要です。
メディア対応
新規参入時は非常に注目度が高くなります。それを当然と思いメディア対応をおざなりにすることは絶対に避けなければなりません。メディア対応にもエース級をスタッフあてましょう。
経験者の配置バランス
要所要所に経験者を配置しましょう。
ただ、新しい観点からプロ野球球団経営をとらえるために、すべてを経験者にするのではなく、一般企業出身者かつ野球にあまり興味がない人の採用も行うことをお勧めします。
作ってからも大変
球団は作るだけではなく運営していかなければなりません。
これは非常に大変です。
チームはキャンプや試合の手配と実施がどんどんスタートします。移動と宿泊の手配だけでも膨大な量となりますし、雨で中止、順延等のイレギュラー対応まで踏まえて計画しないといけません。
また、スタジアムには毎試合2万人くらいの お客様がいらっしゃいますので、様々な事故や予想もしないアクシデントが起き続けます。
現実的には初年度に関しては、勝敗よりも、とにかくトラブルを解決しながら運営を行っていくことで精いっぱいになる可能性が高いでしょう。
最後に
軽く書くつもりが、非常に長くなってしまいました。
また私は事業部門の責任者だったため、野球チーム側からの視点が足りていない気もします。
今後、機会があれば当時のスタッフ数名でもっと詳細な「プロ野球チームの作り方」を項目ごとに書いてみたいと思います。